発起人の物語
日本国際医療チームによる大手術と、
献血者の3,000mLの善意が命をつないだ
歌手ヤン・チェン(銭文江)は、世界でも極めて症例の少ない希少がんに侵され、死の淵に立たされました。紹介も国籍も問わず彼女を受け入れたがん研有明病院の国際医療チームと、一度も会ったことのない献血者たちの善意が、その命を死の淵から引き戻します。「救われた命を社会へ返したい」──その願いが、チャリティーコンサート『生命讃歌』を生みました。

「それは幸運な生存ではなく、
鳳凰涅槃、
本当の再生でした。」
昨年末、私の体は理由のわからない異変を告げ始めました。いくつもの病院を回っても、「卵巣の後ろに影がある」「卵巣がんの疑いがある」と言われるだけで、確かな診断には至りませんでした。深い不安の中、一縷の望みを抱いてがん研有明病院に電話したところ、名門病院にもかかわらず、突然の外国人である私を受け入れ、2月4日の開腹手術を組んでくださいました。
手術前、私は最悪でも卵巣摘出だと思っていました。しかし実際にお腹を開けると、それは一般的な卵巣がんではなく、世界でも十数例しか報告されていない極めて稀な後腹膜扁平上皮癌でした。10時間を超える手術の途中、主治医は家族に、巨大な腫瘍を取るには子宮、卵巣、直腸を含む周囲の臓器も摘出する必要があると説明しました。その決断が、私の命を救ってくれました。
目を覚ましたとき、私は知りました。私の体は、もう両親から授かったままの体ではないことを。体内には約3000ml、全身の血液量に近い、見知らぬ献血者たちの血が流れていました。腫瘍は消えましたが、大切な臓器も失いました。衝撃と悲しみにのみ込まれた数日を経て、舞台や講演で社会に力を届け続けるがん経験者の芸能界先輩方を思い、心に希望の火が灯りました。退院の日、私ははっきり感じました。これは単なる生存ではなく、鳳凰涅槃、本当の再生なのだと。
戦争、衝突、対立が絶えない世界で、生死の境に立った私は確信しました。人類の敵は、人類ではありません。人類の敵は、がんなのです!がんは国境、民族、信仰、立場を選びません。だからこそ人類は、一つの生命共同体として手を取り合い、がんと闘わなければなりません。
私の命は、医療者の皆さま、白衣の天使たち、そして一度も会ったことのない献血の英雄たちが、死神の手から取り戻し、この世界へ返してくださった贈り物です。これから私は、この命を、がん克服の研究支援、病と闘う患者の励まし、そして命を救う人々への恩返しのために使いたいと思います。その願いを込めて「生命讃歌」を発起しました。皆さまの温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。
※ 上記は発起人ご本人の提供原稿です。医療に関する記述は本人が公表を承認した範囲に基づいています。
中国・西安出身。2002年、荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲による「倖せのむこう側」で日本デビュー。「シルクロードから来た歌姫」として、NHK、中国中央電視台(CCTV)の音楽番組、音楽祭、文化フェスティバルなどに出演し、日本と中国を結ぶ音楽活動を続けてきました。代表曲には、NHK新ラジオ歌謡「白木蓮」や、「倖せのむこう側」「愛することしかできない」などがあり、日本の主要レコード会社のひとつ徳間ジャパンから計6枚のCDを発表しています。また、スペインでのオペラ出演、阪神・淡路大震災でのボランティア活動など、国内外で精力的に活動を行ってきました。
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